ハイパフォーマンス・オーディオのメーカーとして知られているボーズですが、実際の企業活動は音響というカテゴリーにとどまらず、様々な調査、研究を通してその成果を世に送り出すことです。その技術開発の成果は航空機の電源安定化技術に始まり、原子炉の燃料棒制御技術や医療用機材の評価用機器の製造などと多岐にわたります。
そしてボーズは実に20年以上にわたり、画期的な自動車用サスペンション・システムの開発も続けてきました。
自動車用サスペンションの設計には、互いに矛盾する2つのゴールがあります。それは“乗り心地”と“操縦安定性”です。ラグジュアリー・セダンのように乗り心地重視で設計すればスムーズなドライビングになりますが、コーナリングやブレーキングでのピッチやロールが避けられません。また、スポーツカーでは操縦安定性を重視してロールとピッチを抑制しますが、反面乗り心地を犠牲にせざるを得ません。
「ボーズ・サスペンション・システム」を要約すると、それはリニア電磁モーターとパワーアンプを組み合わせたハードウェアを、独自のアルゴリズムでコントロールするというものです。この仕組みはラグジュアリー・セダンよりスムーズな乗り心地と、スポーツカーより少ないロールとピッチを、初めて一台の車で実現したのです。ボーズの研究開発車両は、凹凸の激しい路面もなめらかに走り抜け、過激なハンドル操作でもボディーを水平に保って高い操縦安定性を確保しています。