「ベースアレイ」は、低音域の音の指向性を制御するためにボーズにより開発され実用化されたテクノロジーです。
基本的には複数のベースボックの配置と各ボックスごとに個別に信号処理を施すことで、かなり自由度の高い指向性のパターンと主軸方向の制御を可能としています。
ベースボックスを立体的に配置することで、水平垂直両方向の制御が可能となる上、信号制御のパラメータのプリセットを行うことで、スピーカーの構成と配置を変更せずに、指向性のパターンをさまざまに変化させることも可能です。
これにより、アリーナ中央に設置されたセンタークラスターより、客席全体をカバーしたり、アリーナ面のみとしたり、さらにはアリーナの半分だけを対象とするなど、これまで高音域用の定指向性ホーンでしか行うことのできなかったパターン制御が、全周波数帯域で実現できるようになりました。
しかし「ベースアレイ」の真の功績はこれだけではありません。「ベースアレイ」は、カバーエリアの正確なコントロールによる場内の音質の均一化と、低音の集中によるブーミーな音の解消ができる技術なのです。(図1)
従来のスピーカークラスタでは、中高音域は定指向性ホーンの効果により比較的均一な周波数特性が実現されていました。しかし低音域においては従来のダイレクトラジエータ型のウーハでは不可能であったことから、中高音域と低音域では指向性のパターンがまったく異なってしまうのが実情でした。
これは結果として場内で不均一な音質を招き、さらにアリーナで見られる典型的なセンタークラスタでは、ベースボックスを円弧状に配置することで、視覚的にはスピーカークラスタから出た音が周囲に広がるような構成となっていますが、現実は低音が円周上に並べられた各音源より等距離となるクラスタの真下方向のみに集中してしまいます。そのためセンタークラスタの直下では低音のみが集中し、周囲や肝心な客席には低音がほとんど届きません。 (図2)
またスピーカークラスタ直下に放射された音は床や天井に反射を繰り返し過剰な残響音となり、結果的に室内全体をブーミーな音としてしまいます。
「ベースアレイ」はこれら従来のベースシステムの起こす問題を解消し、場内に均一でクリアな音を提供することのできる画期的な技術なのです。